嫌味なねこ殿 |
18歳の頃、よく25歳位の東京出身の先輩と遊んでいました。
その人がちょっとしたグルメ家で、「ヨシ、お前は田舎もんだから知らんだろうから、そばの食い方を教えてやる」とLAのリトルトーキョーにあるおそば屋さんに連れて行ってもらいました。
何かというと、僕に対して「田舎もんのお前には・・」といちいち前置詞をつける人で、他の人達もそういう上から物を言わないと気が済まない彼の性格を知ってか誰も近寄ろうとしなかったですね。
僕は結構昔から人にバカにされてもあまり気にしない方だったので、よくこの先輩から誘いの電話をもらってはどこかへ連れて行ってもらっていました。
で、そば屋でそばがやってきました。周りの客はアメリカ人ばっかりです。
「あっ、やっぱり田舎もんだな。そんな食べ方はだめだ」と正しいそばの食べ方を僕に見せてくれました。そばをちょっとツユにつけて、さっと食べる。
「ずずずずずっずううううううずずずずずーーーーっ」
わざとスゴい音をたてながら食べるんですよ、その先輩が。
「これが江戸っ子のそばの食べ方だ。さあ食え、田舎もん(←こういう余計な一言が皆に嫌われてたんでしょうけど)」
そう言いながらまたスゴい音をたてながらそばを食べるんです、その先輩が。
「周りがザワツイテル・・」
周りのアメリカ人がこっちをちらちら観て、ヒソヒソ話しているのが分かるんですよ。
「oh my god」「yuck」・・・・・とにかく気持悪い食べ方だと。
その先輩もそれに気づいて、ヒートアップしちゃって、「外人にそばの食い方なんかわかるかよ、なー」と益々激しく音を立てながら食べるんです。
「おい、田舎もん、お前も江戸っ子らしく食え」と言われて、素直に先輩に従って、もの凄い音をたてながら食べました、仕方なく。
味なんかどうでもいいです。「どうにでもなれ」って感じでしょうか。周りの痛い視線を浴びつつ、食べきったのをよく覚えています。
そういう経験があるので、あまり「粋」とかにこだわるとかえって格好悪いとおもうようになりました。
たまにそば屋で、自分が必要以上に「ずずずず」と無意識に音をたてていて、「はっ」と気づいたりします。「いかんいかん」
この動画、見事にその先輩とそばを食べに行った場面を再現しています。ねこ殿が先輩で、忠伍が僕で、とても気に入ってます。
またこのねこ殿のグルメ通ぶりが、いかにもって感じで面白いんです。小説には出て来ないテレビ版用に付け足された人物ですが、とてもうまいです、この役者さん。
いるよね、こういうグルメ通のおじさん。
4分10秒から。ねこ殿が作る鮎飯も美味そう。
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